トラッキングコードをECに導入した後、実際に需要予測を運用に活かしていくまでのステップをご説明します。
Contents
需要予測モデルの開発
まず最初に、下記の手順で需要予測モデルの開発を進めます。
- データの蓄積: トラッキングの仕組みを通してユーザー行動や商品に関するデータを蓄積します。
- モデルの開発: 「1」を元に、需要予測のモデルを開発します。このとき、統計的なアプローチから機械学習まで、様々な手法を試します。
- モデルの評価: 「2」で開発した需要予測モデルを元に、予測をします。例えば3月のデータを元に4月1週目の各商品の売れ行きを予測するということをします。この予測データと実績を比較して、モデル精度を評価します。
- モデルの改善: 予測モデルの精度が十分なものになるまで、変数を追加したり外部からデータを引用したりしてモデルの改善を続けます。
予測・最適化するスコープの設定
需要予測モデルの精度が十分なものとなれば、様々な意思決定の精度や効率を高めるために活用できます。
例えば商品Aを20%オフで販売したときの売れ行きを言い当てられるため、そのシミュレーションに基づいて販売期間中に利幅を最大化しながら売り切るプライシングを推定することも可能になります。
同様のアプローチから、既存会員にアプローチするチャネルを商品ごとに最適化したり、ECの中で埋もれているものの露出すればプロパー価格で売れるであろう商品を特定したり、様々な用途に適用できます。
- MDに活用する
- 初期発注・追加発注の最適化
- プライシングに活用する
- プライシング・マークダウンの最適化
- マーケティングに活用する
- 隠れた売れ筋商品の特定
- チャネルの最適化
- パーソナライズ
具体的に何を最適化して運用に組み込んでいくのか、スコープを先に確定しましょう。
需要予測モデルを活用した運用の最適化
「予測・最適化するスコープの設定」で確定したスコープを実現するに当たって、項目ごとに手順をまとめます。
MDに活用する
初期発注・追加発注の最適化
例えば販売から3か月先までの売れ行きを予測した上で、最適な発注量を推定するということをします。
- 予測に当たって、該当商品の特徴(カテゴリー・色・柄・素材・丈感・ディティール等)または画像・販売価格・カテゴリー・販売期間などをモデルにインプットとして与えます。
- 「1」に対して、販売期間中の売れ行きの予測値を出力します。
- 各変数をいじってみて、予測値の変化を見ます。例えば20%オフで販売したケースと20%値上げして販売したケースを比べます。あるいは、Vネックをラウンドネックに変更した場合の売れ行きをシミュレーションします。
- 予測に基づいて発注量を決定します。
プライシングに活用する
プライシング・マークダウンの最適化
プライシングは商品の売れ行きを大きく左右します。この価格弾力性などの計算はAIが特に得意とするところです。
- 予測に当たって、該当商品の特徴(カテゴリー・色・柄・素材・丈感・ディティール等)または画像・販売価格・カテゴリー・販売期間などをモデルにインプットとして与えます。
- 販売期間中に売上を最大化する売値を推定します。
- 予測に基づいてプライシングを反映します。
マーケティングに活用する
隠れた売れ筋商品の特定
「ECの中で埋もれているが、露出すれば売れる商品」「欠品した売れ筋の代替となりうる商品」など、隠れた売れ筋商品をタイムリーに特定します。
利幅を確保しながら効率的に商品を販売していくことができます。
- 予測に当たって、該当商品の特徴(カテゴリー・色・柄・素材・丈感・ディティール等)または画像・販売価格・カテゴリー・販売期間などの一覧をモデルにインプットとして与えます。
- ユーザーに露出した際の「売れやすさ」の順にソート。
- 「2」に基づきメルマガやコンテンツなどを作成。ユーザーに求められているアイテムとの出会いを演出していきます。
チャネルの最適化
記事コンテンツ、メルマガ、LINE、広告など、商品ごとにユーザーに届けるのに最適化なチャネルを特定します。
- 予測に当たって、該当商品の特徴(カテゴリー・色・柄・素材・丈感・ディティール等)または画像・販売価格・カテゴリー・販売期間などの一覧をモデルにインプットとして与えます。
- 商品×チャネルでユーザーに露出した際の「売れやすさ」の順にソート。
- 「2」に基づきメルマガ、LINE、コンテンツ、広告などを最適配分。ユーザーに求められているアイテムとの出会いを演出していきます。
パーソナライズ
ユーザー層ごとに好みを蓄積して、商品やメルマガやLINEなどチャネルのパーソナライズにつなげます。
- 予測に当たって、該当商品の特徴(カテゴリー・色・柄・素材・丈感・ディティール等)または画像・販売価格・カテゴリー・販売期間などの一覧をモデルにインプットとして与えます。
- 年齢、エリアなどのセグメントごとに、商品やチャネルとの相性を試算。露出した際の「売れやすさ」の順にソート。
- 「2」に基づきメルマガ、LINE、商品、コンテンツなどをパーソナライズ。セグメント単位で売上を最大化することで、ユーザーにとってのコンテンツ価値も高めます。
その他の最適化
ここまでに紹介した他にも、課題や仮説を持って分析すれば、データから様々な項目を最適化できます。
下記に一例を挙げます。
- 商品画像の中で、CTRを最大化するサムネイル画像をセレクト。
- 商品画像に起用するモデルさんを、商品ごとに最適化。
- 商品画像の中で組むスタイリングを最適化。
「このような検証がしたい」「これを最適化できればKPIが大きく改善できる」等の要望がありましたら、お気軽に担当者までご連絡ください。
適用方法をデータサイエンティストのチーム含めて検討・提案いたします!
株式会社ニューロープ 代表