みなさんごきげんよう!DeepValleyの代表の深谷です。
さて、前回は「そもそもトレンドって?」というお話しと「ファッショントレンドはどこからやってくるのか?」という内容について書かせていただきました。今回は、「トレンドをどのように予測するか?」という内容をご紹介していきたいと思います。文脈を気にせず語ろうと思えば二泊三日くらい語れそうです…
Contents
ファッションのトレンド予測における2つの大前提
本題に入る前に2つ理解していただきたいことがあります。
まず1つ目「売上予測に100%なんてない」ということです。
当たり前なことですが、「絶対当たる」は無理ですよ。そりゃあ…もちろん自信がある時もありますし「わかりやすいトレンド」は当てられるかもしれませんが、きっとそれは他のブランドや担当者も同じことをするので少し変化させますよね?ブランドの顧客とのマッチングもありますし、そもそもブランドの販売戦略とは別の話ですので、予測したトレンドが自社で売れるかどうかはわかりません。100%わかったらもう自分でめちゃ売れるブランド作っています。
2つ目は、トレンド予測に必要な情報は「過去・現在・未来」の3種の情報だということです。
過去はわかりやすいですね。要は「統計・分析」です。例えば不思議と毎年スカートよりパンツが売れるブランドもあれば逆もあります。ワンピースが売り上げ構成の20%超えるとこもあれば、10%前後のところもあります。それぞれの過去により予測結果は異なります。過去が答えになるのです。ここは数値的な話しが主になりそうなので今回深くは触れないことにします。
今回の「トレンドをどう予測するか?」では、「現在の部分」がメインになります。アパレル関係者には「今季」と言えばイメージとしては等しいと思いますが、そうでない方たちは「今流行っているもの」と捉えていただければと思います。
ファッションのトレンドを予測するのためのチェックポイント
ファッションは予測の精度向上のために捉えなければいけない情報の変数が多すぎます。前回、「コレクションから流行ができてくる」と話しましたが、コレクションを見るだけではきっと何もわかりません。未来の何もわからない情報をより正確に掴むには、過去を基盤にし、現在の状態を把握したうえで未来の情報を予測するというように、時系列で捉える必要があります。
わかりやすい情報はたくさんありますし、SNSをメインに設計されたMDやトレンド予測があっても良いと思いますが、残念ながら自分はそこまで上手いこと到達できてない気がしています。
そこで深谷が見ていた情報を5つご紹介します。
気象省
気象省のホームページでは「季節予報」というものがあります、例年に比べて暑いのか?寒いのか?といった予測を出しています。最近は温暖化の影響で暖冬が多い傾向にもありますが、注視しています。
例えば「ダウンが売れるのは最高気温が10℃未満になってから」という分析データがあります。(ぜひ自社の過去のデータを分析してみてください。)そうなるとダウンが売れるタイミングは長くはありません。そのため、トレンドがきていても売れないものになる場合もあるのです。また、九州などは暖かいうえに車社会ということもあり、大きいダウンよりニットにダウンベストのコーデのほうがが多いといった特性もあります。
店頭VMD
VMDとは(ビジュアルマーチャンダイジング)といいます。MD戦略をビジュアルで表現するものです。これの見方は少し訓練が必要かもしれませんが、結論を言えば毎週(できればもっと短いサイクルで)同じ館の同じフロアを見続ければわかるようになります。
店頭には戦略があります。マネキンに着せるもの、売れ筋を置くと決まっている場所などがあるので、見て回るだけで大枠のトレンドをキャッチできます。2つのブランドを比較するのもオススメです。マスボリュームに一番近いブランドであれば新宿ルミネ2の2F、またはルミネエストのB1Fがわかりやすいかもしれません。
販売員
店頭の話しにもつながりますが、販売員が着用しているアイテムも参考になります。まず間違いなく売りたいものを着ているからです。休憩室などにいくとみんな同じような格好している時もあるのでそんな時はよりわかりやすいです。マネキンと同じ格好で色違いを着ている販売員さんのアイテムは100%売れ筋上位でしょう。
定点観測
今の情報が一番わかりやすいのが定点観測です。街にいる人達の服装を見ます。できれば服だけではなく、メイクやヘアー、靴、小物、カラーなどディテイールまで注意して見た方がトレンドを掴みやすいかもしれません。似たようなアイテムでも、多少テイストによってスタイリングが異なるなどブレがあるためです。
定点観測をする場所もポイントになります。新宿ルミネエストB1F周辺は駅直結のため人が多すぎて不向きかもしれませんが、2F以上であれば参考になります。できれば特定店舗への入店口が見えるところに腰掛けたいものですね。レディース中心であればTGC(東京ガールズコレクション)などのイベントも、みんながトレンドのファッションを身にまとって来るので一番わかりやすい統計かもしれません。
ZOZOTOWN
最後に紹介するのはZOZOTOWNです。「ランキング」も重要ですが「注目キーワード一覧」という、ZOZOTOWN内での検索のデータがランキング形式で見えるページがあります。キーワードからトレンドをウォッチすることができます。
ランキングでは低単価のアイテムが上位になる傾向が強いですが、それは過ぎつつあるトレンドです。似たようなものを予測してなかったら焦ってください。上位だけでなくできるだけ下位まで見たり、年代やカテゴリーで絞ったりし、先物っぽいものがあればそれが次に繋がるトレンドの可能性もあります。
過去・現在・未来から掴むファッションのトレンド
上記で5つの「わかりやすい情報」をお伝えしましたが、トレンド予測のために上記を全てきちんとやっている人は実は多くないと思います。過去の実績を分析し、上記5つを現在のデータとして収集&分析。そして、コレクション情報との差異を見つけ、現在の延長上にあるものがトレンドに落ちてきやすい、というイメージです。
次回は、事例として深谷の分析手法をご紹介します!次回もお楽しみに!
株式会社DeepValley 代表取締役社長。
アパレル業界に10年経験があり、販売からMD、ブランド長まで経験したのち、ITベンチャー企業ベルフェイスに転職し2年半、カスタマーサクセスとしてSaaSのモデルを経験。
双方の経験を合わせ、アパレル業界に特化したIT企業として2018年5月に独立。アパレル生産特化システムの販売とアパレル講師業に務める。