ファッションはロイヤリティを向上させる。ディノス・セシールのファッションAI活用術

ファッションはロイヤリティを向上させる。ディノス・セシールのファッションAI活用術
Pocket

総合通販企業の最大手ディノス・セシール。従来からのカタログも強いが、TV、ECと複数のチャネルを展開し、売上を伸ばしている。多くのお客様に対し、いかにマッチする商品を届けるのか?

今回はニューロープのファッションAIの導入や、2019年の投資について、同社のCECO(Chief E-Commerce Officer)を務める石川森生さんにお話をお伺いました。

CRMの最終ゴールはファッションのリピート

hayashida
林田

ニューロープのファッションAIを「ディノス」で導入いただいたのは、2018年の夏でしたね。アウトプットとしては、DMのパーソナライズド化でしたが、背景にはどのような狙いがあったのでしょうか?

株式会社ディノス・セシール 石川さん
石川さん

まずディノスの新規会員になるきっかけは、家具・インテリアが多いです。ただし、その分野だとどうしても購入頻度が高くはないので、食品や美容・健康、ファッションに繋げていくような戦略を取っています。

食品分野では例えばおせちなどシーズナルなアイテムが多く、かつ広い属性の方にオススメできるカテゴリですので、CRMのためのコンテンツとしては使い勝手が良い。美容・健康も同様に継続性が高い商品が多く、お客様との関係強化に寄与します。

また、ファッションの売上は全体の3割ほどを占め、商材は自社のオリジナルです。比較的高価格帯のアイテムが多いですが、「決して安いものではないけど、素材感などを考えるとコスパは悪くない」という評価をいただいています。一度ディノスのファッションを着ていただくと満足度が高く、息が長いお客様になっていただけます。

このように、商品カテゴリによってロイヤリティ醸成に対して果たす役割がそれぞれあるわけですが、ディノス全体で見たときに、CRMの最終ゴールとしてはファッションアイテムを複数購入していただき、ロイヤリティを上げていくということが大きなポイントになっています。そういった意味合いからもファッションコンテンツの強化を積極的に行っていました。

ファッションAIによるリコメンドの自動化

hayashida
林田

家具・インテリア分野に比べ、ファッションであれば独自アイテムが多く季節ごとに購入するのでリピート率も上がりやすいということですね。

株式会社ディノス・セシール 石川さん
石川さん

そうですね。サイト上のリコメンドはすでに色々やっていたということもあり、ディノスの強みでもあるカタログでの訴求を強めたいと思っていました。そこで、ニューロープの画像解析AIを使ってパーソナライズドDMの施策をスタートさせました。

画像解析AIは、ニューロープ以外にも国内外のいくつかのソリューションを当たりました。
ファッションに特化しているという点や導入のしやすさだけではなく、ニューロープが持つコンテンツも魅力的でした。(詳しい事例はこちらから)

購入履歴によりパーソナライズドしたコンテンツを印刷した小冊子
購入履歴によりパーソナライズドしたコンテンツを印刷した小冊子
hayashida
林田

弊社が運営する#CBKで、インスタグラマーさんやブロガーさんなどに提供いただいている画像のことですね。パーソナライズドDMでは、右側のコーディネート例としてお使いいただきました。

株式会社ディノス・セシール 石川さん
石川さん

はい。ファッションはコーディネートのほうが洋服の魅力が伝わりやすいですよね。昔から雑誌などでもストリートスナップというものがありますが、ディノスがカタログ用に用意した画像だけではなくストリートスナップとして身近に感じてもらえるものが良いなと思いました。

そこから派生する形で、現在EC上にも特集ページとして#CBKの画像と画像解析AIをセットで使っています。特集ページはSEOの視点からLPとして、リテンション用のコンテンツとしてと、いくつかの使い方をしています。

例えば、SEOを強化したいキーワードのリストがあるので、そのキーワードに紐づけられる#CBKのスナップ写真を選び、画像解析AIで販売中のアイテムをリコメンドしています。

これまで、EC用に社員をモデルにして撮影をしていたこともあったのですが、撮りなれていないということもあってコンテンツクオリティを担保しつつ、量産をするのが難しいことがボトルネックでした。#CBK の画像は、ニューロープが事前にインスタグラマーさんから画像の使用許諾を取っているので、うちは選ぶだけと効率的にコンテンツが作れます。オーガニックからの流入やCRMでの活用で効果測定を行っていますが、経由売り上げも順調です。

ディノスの特集ページ「ゆるトレンチコート」
ディノスの特集ページ「ゆるトレンチコート」
#CBKのスナップ写真と画像解析AIを利用している

大切なのは、時代にあった商品を提供し続けること

hayashida
林田

2020年新型コロナウイルスという予期しなかったことが起きていますが、ディノスさんへの影響はいかがでしょうか?

株式会社ディノス・セシール 石川さん
石川さん

新型コロナウイルスの影響で外出自粛となり、通販事業にとっては追い風となりました。
在宅だと自宅の中に目がいくので、家具・インテリアなどはうちだけではなく、世間全体的にも伸びているようですね。一方でファッションなどニーズ自体が減少しているカテゴリもあります。総論としてはプラスだけど、カテゴリ単位で見るとマイナスなものもあるといった状態ですね。

新型コロナウイルスの影響で新しいニーズが生まれてきているので、そのあたりはMDが敏感に感じ取って新たな商材を仕込んでいます。元々お客様に対して「時代にあった商品や価値を提供していく」というのがミッションなので、今色々な変化が起きていますが、変わらないアウトプットをどう出すかということをチームで話合いながら進めています。

hayashida
林田

最近、新しく始めたことはありますか?

株式会社ディノス・セシール 石川さん
石川さん

最近、ライブ配信を始めました。いわゆるインスタライブのようなSNS上の拡散型ではなく、自社サイト内でやっています。

商材としてはファッションで、カタログのコーディネートを中心に当社のスタッフが説明をするといったものです。インタラクティブにチャットでやり取りをするので、面白いですね!

一応台本を用意しているのですが、お客さんから思わぬ質問を受けることもあり、なかなか台本通りにはいかなくて…(笑)また、初めての配信ということもあり撮影現場が少しバタバタしたところはあったのですが、その雰囲気含めて生っぽさが面白いという声を多くいただきました。

新規の方をターゲットとせずに、ディノスファッションの既存顧客向けに内容を振り切ったことで、コアなファンが楽しめる場になったと思います。

改めて、ファンがついているブランドで動画はアリですね。動画はストックコンテンツとしても使えるし、ファッション以外にもディノスのキッチン用品で料理してみたり、インテリアコーディネートを提案してみたりと色々展開できそうだなと考えています。

DAMA collection ライブの様子
DAMA collection ライブの様子
hayashida
林田

2019年ディノス・セシールさんは、ニューロープだけではなく、人材やセキュリティ分野など、いくつかのスタートアップに投資をされました。投資というかたちを取った理由はどのようなところにありますか?

株式会社ディノス・セシール 石川さん
石川さん

当然、色々と新しいことを社内でも挑戦しているのですが、「果たして社内ですべてをやるのが良いのか?」ということになると、そうとも限らないじゃないですか。起業家気質のゼロイチが向いているメンバーが多くないということもあり、であれば同じ予算を社外のスタートアップに投資することで機能補完しつつ、お互い良い取り組みにできればと考えています。

ディノス・セシールの業務における改善ポイントの中には、テクノロジー活用が突破口になるものも多くあると考えています。単なる業務委託よりもう一歩つっこんだ資本提携という形を取り、より深く柔軟に動ける座組、色々な話ができる関係性を築きたかったというのがあります。

また、ディノスもセシールも国内ECの中でも商品数や売上など、データ量はそこそこ多いので、それらのデータや課題を提供することで、投資先はサービス開発に活かせますし、当社は改善されたサービスが受けられることを期待しています。

ニューロープは、始めの取り組みの時からこちらのアイディアに対して追加で機能開発をしてくれるなど応えてくれるので助かっています。他のアパレル関連企業との取引も多く、ファッション分野への知見もあるので、今後も相談しながら需要予測など在庫まわりの課題解決にも繋げていこうと進めています。

膨大なデータから人が発見できない特徴をAIが発見することもできるので、AIとMD、そしてお客様をうまく掛け合わせていきたいです。

ニューロープには、ディノスのデータを使ってAI事業をさらに高め、新たなインフラになってもらうことを期待していますよ!

hayashida
林田

頑張ります!
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

関連リンク